T^3Japan第12回年会 プログラム詳細

2008年8月9日〜10日  東京都・東京女学館中学校・高等学校

                       

 

8月9日(土)

 

授業者:河合伸昭(岡山市立岡山後楽館高校)

生   徒:東京女学館高等学校1年生

          「三角比の表を作ろう〜君は、プトレマイオスを超えられるか〜」

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プトレマイオスは古代ギリシャの数学者・地理学者で,約2000年前に小数点以下6桁に相当する精度の三角比の表を編纂しました。この公開授業では三角比を学習したばかりの生徒が,グラフ電卓を武器にプトレマイオスの精度以上の三角比の表の作成に挑戦します。必要な定理・公式をグラフ電卓や幾何ソフトを用いて導きながら,三角関数表を作成するという構成ですので,三角関数の公式が暗記の対象ではなく,三角比表の作成という一つのストーリーの中で,生き生きと活躍していきます。

 

A-1

一松 信(T3Japan代表)  「電卓利用の検定問題」

数学検定においては過去に電卓使用を(2次,数理において) 全面的に認めてきた。その種の実例をいくつか紹介する。情勢の変化に伴いこの見直しが始まったので,ご意見を伺いたい。

[数学教育/発表形式/両者対応]

A-2 福井高専 数学科・応用数学科    「初心者のためのグラフ電卓講座(1)スイッチONから数式処理の基礎まで」

グラフ電卓を使ってみたい,グラフ電卓とはどんなものか知りたいという方を対象とした講座です。はじめてグラフ電卓に触れる方でも安心してご参加ください。先生,学生,生徒どなたでも参加できます。授業等ですでに使っておられる方は是非情報交換をしましょう。基本操作として,スイッチの入れ方から数式処理の基礎まで行います。

 [Workshop/初心者]

A-3 福井高専 数学科・応用数学科    「初心者のためのグラフ電卓講座(2)グラフの描き方と利用のしかた」

グラフ電卓を使ってみたい,グラフ電卓とはどんなものか知りたいという方を対象とした講座です。はじめてグラフ電卓に触れる方でも安心してご参加ください。先生,学生,生徒どなたでも参加できます。授業等ですでに使っておられる方は是非情報交換をしましょう。様々なグラフを描く方法とその授業での利用について実際に触れながらすすめます。

[Workshop/初心者]

B-1 高木和久(高知工業高等専門学校)

 「整式カリキュレータと表計算ソフトの連携によって生まれた教材について

数学は高度に抽象化された学問であるが,初学者に対しては「見せる授業」が効果的である。そこで,関数の描画以外の分野において「見て納得させる」教材を開発した。取り扱ったテーマは多項式のTaylor展開,Catalan数,n倍角の公式とChebyshev多項式,3次方程式の解の公式など全て既知のものであるが,自作の整式カリキュレータとExcelを併用することで,従来にはない形の教材を,多数作成することができた。

[発表形式/両者対応]

B-2

深瀬幹雄(東京理科大学)   「関数電卓を利用した統計の授業」

関数電卓には,多くの統計処理機能が備わっている。この機能を使ってデータ処理することにより,統計を学ぶ者は,表示されるグラフや統計的数値の意味の理解をしながら現実データ統計的な処理を学習することができると考える。ここでは,2変数のデータを扱い,散布図を作り,回帰直線を求め,相関係数の意味を考える授業を紹介したい。

[数学A, 数学B, 数学C, 工学教育/発表形式/両者対応]

B-3 阿蘇和寿(石川工業高等専門学校)  「関数グラフアートへの取組み」

関数グラフアートはグラフ描画練習の動機付けやその最終目標としての役割を果たしてくれる。今回は,授業用のプリントとその狙いを中心に,関数グラフアート選手権に向けての具体的な取組みを紹介する。TI-89によるグラフ描画の初心者が参加していただいた場合には,描画方法の練習も行いたい。

[数学教育/発表形式/両者対応]

B-4

渡辺 信(東海大学海洋学部)     微分入門は「グラフ電卓+CBL」

微分の計算はできても,何をやっているのか分からない学生ばかり・・・ 計算が得意で,計算ができると数学の評価はよいというのでは,数学なんて役立たない。そこで,微分の入門は「グラフ電卓+CBL」を活用すべし。関数についてはy=sin(x)を用いて,また合成関数についてはy=sin(2x)の説明ができる。微分とは何かを説明して,その概念を見せることができる授業紹介をする。

[数学と科学の融合/発表形式/両者対応]]

C-1

菊池千秋(茨城県高萩市立高萩中学校)      「Cabri3Dで「多面体」を探究しよう!」

サイエンスパートナーシッププロジェクト(講座型学習活動)の支援内容や講座企画方法の紹介と福島大学との連携による体験活動を取り入れた関数の指導の実践例について発表する。実際にグラフ電卓などを活用して実験を行う。

[数学と科学の融合/発表形式/両者対応]

C-2

中澤房紀(東日本国際大学)     「SPPで行った授業の教材を紹介/高校の内容を中学生に」

青森県の中学生で行った授業の教材を紹介する。内容的にはすべて高校の内容で,どれも活動を通して規則性を見つけたり概念を理解するものです。@地球温暖化の話題から入って森を守るを題材に漸化式の導入,収束と発散,それを使って住宅ローンに展開。Aパラボラアンテナの仕組みを考える。モデリングの大切さや規則性を見つけ証明することを学ぶ。Bニュートンの話題から入って,ニュートンの冷却法則を検証する。その過程で微分概念を導入。

[数学T,数学U,数学V,数学A/Workshop/両者対応]

C-3

相馬 誠(青森県立三本木高等学校)    「SPP実践報告 青森三本木の取り組みについて」

三本木高校はSPPを実施して今年で3年目。併設型の中高一貫校である附属中学校におけるSPPも2年目に突入。多くの先生方のお力を借りて,様々な事業実践を行っている。その取組み内容について,今回は紹介する。

 [その他/発表形式/両者対応]

C-4

長水壽寛(福井工業高等専門学校     「教科書に載っていそうにない関数のグラフの慨形」

関数のグラフの慨形を学習した後で,「教科書に載っていそうにない関数を自分で作り,そのグラフの慨形を描く」という課題の紹介。(片岡先生の『グラフ電卓を活用した探求活動』の中の課題を参考にしました。

[数学V,微分積分/発表形式/両者対応]

D-1

 田中憲三(千里国際学園中等部・高等部)     

「生徒全員がグラフ電卓を持つ学校の実践報告(中学1年編):方程式を解こう」

グラフ電卓を用いて方程式を解きながら,グラフ電卓の基本操作を説明します。グラフ電卓を手にとっていっしょに操作をしてください。

 [数量関係/Workshop/初心者]

D-2

飯田洋市(諏訪東京理科大学経営情報学部)    佐藤 誠(長野県茅野高等学校

「星に願いを,数学に夢を。」

本発表ではグラフ電卓上に星の絵を描画するという簡単な体験をしていただきます。体験していただくとわかりますが,普段の授業で手軽に実施できる内容です。はじめはグラフ用紙に星を作図することからはじめます。グラフ用紙などは用意します。ここで手書きしたオリジナルの星がグラフ電卓に取り込まれ,最終的にプロジェクタで大画面に映し出されるとき,ちょっと感動できます。数学を"使えた"気分になれます。

[数量と図形の融合,数学T/Workshop/両者対応]

D-3

小森恒雄(Naoco Inc.)    「テクノロジーを使えば,ここまで納得− 写像(x, y) → (x+y,xy) をテーマに−」

「平面上の点(x, y) が単位円x2+y2=1の周上を動くとき,点(x+y,xy) はどのような図形を描くか」この問題は大学受験生なら一度は遭遇し,挑戦して,解にびっくりする,(暗記せざるを得ないような) 問題です。テクノロジーを使ってこの問題を分析し,納得ゆく理解を目指します。さらに発展を考えます。

[数学T,数学A/Workshop/両者対応]

D-4

河合伸昭(岡山市立岡山後楽館高等学校)    「ニュートンの「プリンキピア」のファインマンによる変奏曲」

科学の時代の幕開けを告げたニュートンの「プリンキピア」を幾何ソフト「カブリ」を活用し,ファインマンの方法により教材化。ベクトル・微分の概念により,天体の運行法則「ケプラーの三法則」が導かれることが,実感できる。「平成19年度科研費補助研究」

[数学V,数学C,数学と科学の融合/発表形式/両者対応]

E-1

中込雄治(東京都立武蔵高等学校・附属中学校)     黒木伸明(前上越教育大学)

「作図問題とCabri」

作図問題は高校入試では必須の問題となっています。作図問題ではただ描かせるのではなく,その手順を文章で書かせることによって,論理的な思考力の向上と,図形的根拠の意識化を図ることが期待できます。ここではCabriを使って手順を明確にし,さらに多様な解法も検討します。

[図形関係,数学A/発表形式初心者]

E-2

古宇田大介(芝浦工業大学中学高等学校)    「文房具としてのCabriU」

本校は,中学入学時に1人1台のノートパソコンを購入し,それを文房具として使わせています。今回は中学の幾何(相似分野)での活動の様子を中心として,実際にCabriを体験して頂きながら報告します。

 [図形関係/発表形式/初心者]

E-3

中澤房紀(東日本国際大学)     「明日から使える二次関数の授業/グラフ電卓とCabriU

視覚化することにより,いかに理解が深まるかをいくつかの例で示したい。代数的に解いてそれを視覚化して確かめる。視覚的に解いて代数的に確認する。例として,一次関数から発展させる二次関数の平行移動。噴水を題材にしたモデリングと平方完成・平行移動の視覚的理解。実数条件の問題を視覚的に捉える。

[数学T/Workshop /両者対応]

E-4

氏家亮子(金沢工業高等専門学校)     「最初の一歩を踏み出すために/グラフ電卓とCBL2」

初心者の先生の立場になって,@実験をする時の留意事項 A導入での小ネタ情報 B時間配分 C授業のまとめ方 などをお話します。実際のテキストに書き込んだ先生用テキストやデータ,実験に使ったプログラムと解説,サンプル データをセットで参加した人に配布します。

 [数学と科学の融合/Workshop/初心者]

8月10日(日)

講演:「気づく力をつけさせよう!」

 

古川昭夫(科学的教育グループ  SEG 代表)

 

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教育で一番大事なことは,生徒や学生自身が自分で気づいて発見する,自分で気づいて考えることです。私の主宰する塾SEGでは,従来より,「子供たちの気づき」を手助けするプログラムを作っていましたが,2006年より,さらに画期的な「数学extreme」,「英語多読」コースを始めました。その中で,教師の役割はどう変わっていったかをお話します。

 

A-1

小森恒雄(Naoco Inc.)    「新しい教育ツールTI-Nspire CAS の紹介」

TI-Nspire (Texas Instruments社製) は電卓とパソコンソフトの2種類あり,数式処理機能 (CAS) が入っているか否かでさらに2つに分かれます。ここでは数式処理機能が入った電卓を紹介します。その特長はグラフ描画と幾何の作図機能が一緒になったことです。たとえば放物線に円や四角形が作図できます。

[その他/Workshop/両者対応]

A-2

公庄庸三(海陽中等教育学校)     「海陽中等教育学校での中学1年生のM.T.T報告

2007年9月にderive6の学校siteライセンスにより,全生徒がderive6をしようできる環境が整った。教室の関係で35名限定で週1回の特別授業が始まった。内容はすべて公庄庸三のHPに公開されている。その中から絶対値の2ヶ月ほどの探求を報告する。

数量関係,数学T/Workshop/両者対応]

B-1

福井高専 数学科・応用数学科 

「初心者のためのグラフ電卓講座(3) 距離センサーを用いたデータの収集と利用法」

太陽光を一点に集光する反射鏡やパラボラアンテナは,放物線を軸のまわりに回転させて得られる曲面です。この放物線を二次曲線ではなく,グラフ電卓voyage200を活用して,二次関数のグラフとして捉えた実験数学の授業「太陽光を集めよう」を紹介します。 また,愛知教育大学で行った授業をまとめたブックレット「グラフ電卓がひらく数学教育ー自ら考え,数学を楽しむー」(愛知教育大学出版会)の紹介もする予定です。

[数学T,数学C/Workshop/両者対応]

B-2

喜田英昭(広島大学附属中高等学校)    

「グラフ電卓を利用した三角関数の発展学習−SSH研究体験プログラムの実践報告−」

平成17,18,19年度本校SSHの研究体験プログラムの一環として,数学と現実世界と密接に関連していることを体験させる研究体験学習について報告いたします。Voyage200,CBL2を用いて音声を測定,フーリエ解析を行い,Mathematicaを用いてその再現を行います。この学習を通して,音声が三角関数で表されること,音叉,楽器,人間の音声の違いを波形だけでなく,式から考察していきます。

[数学U,数学V,数学と科学の融合,物理/発表形式/両者対応]

B-3

相馬 誠(青森県立三本木高等学校)    「4本ハノイの問題」を授業で〜2年前の一松先生のお話から〜

2年前(洗足)のこの年会で,一松先生が講演された「4本ハノイの塔」の問題。学校に戻ってから「総合的な学習の時間」の課題研究の時間に,クラス生徒と一緒にこの問題に取り組み,学び,考えた内容について紹介する。

[数学B/発表形式/両者対応]

C-1

半田 真(東京女学館中学・高等学校)   「複利計算と自然対数の底 − eの導入についての一考察 −」

自然対数の底eがどのような場面で現れるのか,具体例を通じて示す。これにより単調増加で上に有界な数列は収束することを帰納的に確認する。演繹的な考察を深めることも必要だが,高二の段階ですべての生徒にそこまで要求するよりも今後の学習の指針になるような指導ができればと考えた。今回の授業を受けて数学IIIでの学習に意欲的に取り組んでいければと考える。

[数学U/発表形式/両者対応]

C-2

松木貴司(北海道教育大学 人間地域科学課程) 

「大学と公立学校での教育における物理量の測定とその利用」

音センサーや光センサーを利用した大学での物理実験(環境科学専攻学生向け)と中学校での理科実験(SPP講座型学習活動)における実験活動について報告する。センサーとともに利用する,簡単な道具の工夫とその利用についての実践例もまじえて報告する。

[物理教育/発表形式/両者対応]

C-3

武藤寿彰(静岡市立高松中学校)     「鏡に映る高さ」をVoyageで数学しよう」

1999年に岡山大学附属中(当時)の大月一泰・川上公一の両氏が開発した課題学習「床に鏡を置いてのぞいてみよう」を,実際の実験と,Voyage(Cabri)上での仮想実験から,その謎に迫っていきます。Voyageを適宜活用しての関数と図形,数式の融合的な学習です。

[数量と図形の融合/Workshop/両者対応]

D-1

渡辺 信(東海大学海洋学部)   「創造的活動としての「数学的活動」のためのグラフ電卓」

数学は考えるために必要であると言うことは分かっていても,生徒に考える授業はなかなか行いにくい。数学が楽しいことは計算ができたときというが,考えてわかった・自分の方法で解けたという体験は乏しい。創造的活動のためにはその考える補助が必要。そのためのグラフ電卓の活用について考えた。

[数学と科学の融合/発表形式/両者対応]

D-2

相馬 誠(青森県立三本木高等学校))        「マクローリン展開の視覚化」

数学Vの教科書に「近似式」に関する内容を学習するページがある。活字だけの内容確認だけでなく,グラフ電卓を授業に持ち込みマクローリン展開における「近似式の精度」を「視覚的」に確認した。そのときの授業実践を発表する。

[数学V/ Workshop/初心者]

D-3

勢子公男(東京都豊島区立明豊中学校)   「複素数を遊ぼう!!」

難しそうな数,複素数。でも堅いこと抜きに,グラフ電卓を片手に,気軽な遊び気分で楽しんでみよう。2次方程式はもちろん,3次方程式,4次方程式といろいろ遊べて,とっても不思議です。一緒に遊んでみませんか?

[その他/発表形式/初心者]

E-1

片岡 啓(大阪府立吹田高等学校)        「Cabriで探る立体の切断」

三角柱を3つの三角錐に実際に切ったことがありますか? 立方体を斜めに切った断面を実際に作図したことがありますか? 平面幾何のソフトを展開図や投影図の作図に使って,ハサミとのりを片手に立体を組み立てる体験を試みます。

[図形関係/Workshop/初心者]

E-2

福田千枝子(帝京大学),垣花京子(筑波学院大学)  「楕円の探求−Cabri3DとCabri Geometryを使って」

楕円はいろいろな生活の場面で現れ,研究者によっては長い間研究されている。しかし,授業の中ではあまり取り上げられない。動的図形作図環境(DGS)が開発され,楕円を作図することが容易になっている。そこで,これらのソフトを使っていろいろな場面を再現し,楕円の作図方法を探究したり,その性質を探求してみましょう。

[図形関係,数学と科学の融合/Workshop/両者対応]