T^3Japan第17回年会 プログラム詳細

2013年8月24日〜25日  東京理科大学・神楽坂キャンパス

共催:東京理科大学数学教育研究会

                       

 

月 24日(土)

 

A-1

石川理雄 (海陽中等教育学校)  子どもは小さな数学者 −グラフ電卓の昨日,今日,…−

中学1年生と2年生が週3回の部活動で,Voyage200とTI-Nspire CX CASを使って,数学(数楽?)を楽しく学んでいます。「絶対値記号のついた関数のグラフの探究」では,生徒は自分で考え,数学を楽しみ,発見の喜びを味わっています.中学1年生でもすごいことをやるなあとびっくりします。一人一人が小さな数学者であり,一人一人の可能性を大事にしたいと思います。これまでの実践を振り返りながら,グラフ電卓との出会い,子どもたちの学びの可能性,教員の喜び,数学を学ぶこと,について参加者と一緒に考えたいと思います。

 [数量関係,数学T,発表形式,両者対応]

A-2

渡辺 信 (日本数学検定協会/生涯学習数学研究所)        デジタル時代の数学教育のあり方を問う

情報化社会という言葉も定着し,テクノロジによる社会の変化は著しい。この時代に数学教育をはじめとした学校教育はどのように変化したかをアメリカの教室を見学した印象から,これからの数学教育はどのように変わるかを考えたい。現在の日本の数学教育が受ける若者=生徒にとってふさわしいであろうかを基準とした学校教育・数学教育を検討したい。テクノロジ社会の中での若者に対してあまりに遅れた日本の教育は若者の犠牲の上に成立っている。社会は大きく変化している。知識を学ぶ環境は変わっている。多くの人と議論したい。

 [その他,Workshop,両者対応]

A-3

中野俊之(高知大学教育学部), 小松洋子(高知県奈半利町教育委員会), 濱田淳一(高知県嶺北中学校)
中学校の図形指導におけるPCシミュレーション・ソフトの活用について

PCシミュレーション・ソフトを図形指導に活用する方法として,(1)説明の教具として活用 (2)問題を発展的に捉えさせる教具として活用 (3)新しい性質や課題を発見する文脈を創るための教具として活用 の3つの活用法について,具体的実践研究をもとに提案する。

 [図形関係, 発表形式,経験者]

A-4

小林茂樹(長野工業高等専門学校)  CABRI 3D 体験

初心者が初めて カブリ 3D を使ってみた感想などを発表します。いろいろ教えていただければ有り難いです。

[図形関係,微分積分,Workshop,初心者]

B-1

光永文彦(実践女子学園社会情報教育イノベーション研究所), 中澤房紀(東日本国際大学)

SPP講座「解析学超入門」事例報告と今後の展望

2012年度 SPP 講座に指定された実践女子学園高等学校「解析学超入門」の事例報告を行う。数学U「微分法」「積分法」既習の生徒に対し,数学を言語としてその解明や探求を議論できるようになることを主目的に,距離センサー・温度センサー等を利用した様々な自然現象の分析を実施した結果を様々な角度から紹介する。主に,来年度以降 SPP を新規で考えていらっしゃる先生向けにお話したい。

[数学U,数学V,発表形式,初心者]

B-2

馬場博史(関西学院千里国際中等部高等部)
国際バカロレア数学の問題をグラフ電卓を使って解いてみよう3   〜三角関数編〜

国際バカロレア数学の教科書には,自然科学や社会科学の応用問題が豊富に掲載されています。授業にも試験にもグラフ電卓が必要です。日本の学習指導要領の数学と比較しながら,実際に問題を解いてみましょう。指数関数,対数関数に続き,今回は三角関数を紹介します。

 [数学U,発表形式,両者対応]

B-3

佐藤昌宏(東海大学付属浦安高等学校中等部)   平行四辺形の性質 〜グラフ電卓を使ってみよう〜

本校では,TI-Nspire CX CAS を50台購入し,1クラスの生徒全員が手にして授業を受ける体制ができました。現在は授業案を模索している段階です。今回は、昨年11月に本校で行われた研究授業の指導案を紹介いたします。対象は中学2年生37名であり,単元は平面図形の平行四辺形の性質です。

 [図形関係,Workshop,初心者]

C-1

坪川武弘,中谷実伸,柳原祐治,井之上和代,山田哲也   (福井高専数学科・応用数学科)
グラフ電卓初心者講座(1) −距離センサー利用の実データ収集編−

グラフ電卓の使い方をはじめから丁寧に解説します。自分の数学学習に,授業での使い方に参考として下さい。グラフ電卓のもつグラフ描画機能,数式処理機能,センサーとの連携をワークショップ形式で行ないます。全くの初心者でも大丈夫ですよ。用いる機種はTI-nspire CASですが,TI-89、Voyageなどでも同じことが行なえます。

[Workshop,初心者]

C-2

松木貴司 (北海道教育大学函館校理科教育講座)
マイケルソン干渉計の干渉縞測定への電卓TI-Nspireの利用

マイケルソン干渉実験における干渉縞の光強度の変化を電卓TI-NspireとCBLを利用して観測した。スピーカーに付けた反射鏡を発振器からの信号で駆動し,マイケルソン干渉計で作られる干渉縞の光強度と駆動信号の電圧を電卓とCBLで同時に観測した.実験で得られる物理量の観測と解析を電卓とCBLで行える簡便な実験系を組み立てることができた。

 [物理,物理教育,発表形式,両者対応]

C-3

中澤房紀(東日本国際大学)
実データから出発する数学(SSHの授業から)〜歩いてグラフを描く。ニュートンの冷却曲線〜

距離センサーを使った活動では定番の「歩いてグラフを描く」。小学校,中学校,高校,対象者によって問いかけや活動は異なりますが,どこでやっても生徒は身体を動かし考え,試行錯誤を始めます。温度が冷めるデータからきれいな比例定数が見えてきます。この値が指数関数で,微分方程式でモデリングするときに使われます。一つの比例定数で複数の関数をつなげてみると数学の世界が少し広がるように思います。

[数学と科学の融合,微分積分, Workshop]

   

 

第9回 関数グラフアート全国コンテスト  作品発表と表彰式

 

生徒が関数を使って描いた作品についてプレゼンテーションを行います。

それをもとに,参加者も一緒に評価します。


主催:関数グラフアートコンテスト運営委員会 事務局 (福井工業高等専門学校)

月 25日(日)

A-1

川谷亮治(福井大学大学院工学研究科機械工学専攻), 高田直人(長野県飯田OIDE長姫高校電気科)
2次方程式で鉄球が浮上する

質点の運動は2階微分方程式によって表すことができ,その微分方程式の解は2次方程式の解によって与えられます。2次方程式の解は,その係数によって,実数もしくは複素共役数になりますが,これらは質点の運動にどのように関連しているのでしょうか。本発表では,グラフ電卓の数式処理機能と描画機能を利用して,これらの関連性を調べます。さらに,その関連性を理解した上で,電磁力を利用した鉄球の浮上実験に挑戦します。

[数学と科学の融合,数学教育,物理教育,Workshop,両者対応]

A-2

半田 真(東京女学館中学・高校)        複利計算と自然対数の底 −eの導入についての一考察−

自然対数の底eがどのような場面で現れるのか,具体例を通じて示し,増加の様子を予想させる。その予想を確認しながら単調増加で上に有界な数列は収束することを帰納的に確認していった。さらに視覚的に確認するためグラフ化しての確認も行う。こうした数学的活動を通じて,初めに立てさせた予想を学習者自身で確かめさせた。そのための道具としてグラフ電卓を利用し,「限界があるとは思わなかった」とか「増加しながらも一定の値に近づいていく」といった学習者の新たな発見や気づきを引き出すことができた。

[数学V,B,発表形式,初心者]

A-3

勢子公男(練馬区立大泉学園中学校)    TI-Nspire の教材で遊ぼう!!

TI-Nspireに付属の教材やweb site からの教材には様々なものがある。自分で教材を作るのは諸般の事情で難しい面があるが,公開されているこれらの教材は自由に使うことができる。その紹介も兼ねて,皆さんと一緒に「教材を楽しんでみたい」と考えています。

 [数量関係,図形関係,数量と図形の融合,発表形式,両者対応

A-4

渡辺 信 (日本数学検定協会/生涯学習数学研究所)    グラフ電卓で見る数学の楽しみ

今回はいくつかの数学問題をグラフ電卓を手元に置いて問題を眺めることの面白さについて発表したい。扱う題材として,@三平方の定理は余弦定理の一部分,A懸垂線とサイクロイドの近似を見ると,B実験データの処理と仮説(全国学力テスト問題から)C面積の最大を求める間違え(多変数になったときの注意)Eベクトルの一次独立などを扱う。数学の問題はいろいろ範囲が異なるが,見ることができたときの楽しみを味わいたい。

[数学T,発表形式,初心者]

A-5

河合伸昭 (岡山県立岡山南高校)    ラジアンの導入

本校は専門高校であり,旧課程では数学は数学T,数学Aのみを履修していた。新課程、この二年から数学Uを履修している。数学Tのみでは,三角比での角度の単位は,度のみであったが,数学Uではラジアンを使わなければならない。しかし,ラジアンの導入は,特に専門高校の生徒には天下りで唐突に感じられると思われる。ここでは、グラフ電卓を活用し、生徒に自然と感じられるようなラジアンの導入を工夫してみた。

[数数学T,数学U,発表形式,両者対応]

B-1

坪川武弘,中谷実伸,柳原祐治,井之上和代,山田哲也   (福井高専数学科・応用数学科)
グラフ電卓初心者講座(2) −数式処理・グラフ描画編−

グラフ電卓の使い方をはじめから丁寧に解説します。自分の数学学習に,授業での使い方に参考として下さい。グラフ電卓のもつグラフ描画機能,数式処理機能,センサーとの連携をワークショップ形式で行ないます。全くの初心者でも大丈夫ですよ。用いる機種はTI-Nspire CASですが,TI-89、Voyageなどでも同じことが行なえます。

[Workshop,初心者]

B-2

梅野善雄(一関工業高等専門学校)    TI-Nspire CX のスライダーを活用した関数グラフの指導

いろいろな関数のグラフの係数を変えるとグラフがどのように変わるか,スライダー機能を利用すると簡単に見ることができる。このスライダーの利用法と,それを活用した指導法などについて考える。

 [数学T,U,V,A,B,C,微分積分,Workshop,初心者]

B-3

勢子公男(練馬区立大泉学園中学校)    近似曲線の周辺

よく知られているように,曲線上の1点はその点における微分系数を傾きとする直線のグラフで近似される。曲線はそれらの近似直線を多く描くことで概形を見ることができる。ここでは,近似されたグラフを使うことによって学ぶことができるいろいろな事柄を検討していきたいと考えている。グラフを描く楽しみを一緒に体験できればと思う。

 [数量関係,数学T,VB,C, Workshop,両者対応]

B-4

尾崎 優 ((東京理科大学大学院科学教育研究科 科学教育専攻)
グラフ電卓を用いた回帰曲線の教材案の検討

TI-Nspire CX CAS を用いた海外の回帰曲線の教材と従来の日本の教材の比較を行い,日本の数学教育への導入の検討を行う。

 [数量関係,表形式,初心者]

C-1

中谷亮子 (金沢工業高等専門学校)
他教科との連携による出前授業の実践報告 〜グラフ電卓とデータ収集機を用いた総合学習〜

単振り子」をテーマとして取り上げ,中学生を対象とした数学・物理・工学を織り交ぜた出前授業を実施した。本発表では,授業の実践報告をするとともに,授業で使用したテキストをもとに参加者とともに実際に実験・解析活動を行なう。また,失敗しない実験のコツなども紹介する。

[数学と科学の融合,数学教育,物理教育,Workshop,初心者]

C-2

中込雄治(宮城学院女子大学)     図形教材と図形ソフト

算数・数学の図形教材における図形ソフトの活用方法を探ります。図形問題において多様な解法を考えていくとき,「解法間の関係性に着目する」という手法があります。特に「特殊と一般」という関係性をとらえることは,新たな解法を見出していく上で有効に作用する場合があります。この「特殊と一般」の関係を視覚的に把握しようとするときに,図形ソフトの果たす役割は大きいと考えます。算数・数学の基本的な図形の問題をもとに,そのことを考察します。

      [図形関係,発表形式,初心者]

C-3

小森恒雄(Naoco Inc.)      Cabri 3Dを使って立体感覚を養成V−大学入試立体問題を素材に−

大学入試数学の立体問題で,2つの立体の共通部分の体積を求める問題はイメージをつかみにくいものの1つです。Cabri 3Dは数式で式を定義しないので共通部分のみの立体の作図は少し苦手ですが,外形をイメージする感覚を養うには強力なツールになります。本発表では,2つの円柱の交わりなど,共通部分の立体を扱います。

[数学T,U,V,A,B,発表形式,両者対応]

C-4

中澤房紀(東日本国際大学)     確率・統計 〜分布を意識する〜

モンティホール問題を題材に実際に活動してデータを収集し分析(Data Plot,箱ひげ図)します。場合分けを考えて確率を計算するのと実際データから分布を意識するのとの違いを議論します。 株式を購入する,国債を購入する,どちらがハイリスク・ハイリターンか。何を持って判断する?過去から現在までの月次の前月対比の値上がり率のデータをもとに考えます。分布は正規分布になるの?リーマンショック時のデータは箱ひげ図で外れ値になるの?一緒に分析してみましょう。

[数学T,V,Workshop,両者対応]

C-5

高木良英((東京理科大学大学院科学教育研究科 科学教育専攻)
グラフ電卓を用いたロピタルの定理の説明

高等学校 数V 極限分野において,グラフ電卓を用いてロピタルの定理を説明および紹介をする。日本における学習指導要領ではロピタルの定理は指導外である。しかし,アメリカの教材およびグラフ電卓を用いて,定理を生徒たちに説明をする。教科書によっては,ロピタルの定理をコラム程度で紹介はしているが,あくまでも結果だけを載せている。ロピタルの定理を用いることで,極限値の検算を行うことができ、生徒たちにとっては有用である。グラフ電卓を用いて,幾何学の面から「視覚的に」ロピタルの定理を説明する。これはグラフ電卓だからこそできることである。板書だけで説明しても,生徒たちの理解は深まらない。生徒たちの視覚に訴え,理解を深めさせるような教材である本教材を私は紹介をしたいと思う。

 [数学V,発表形式,両者対応]

 

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